経済学部を出て、システム関連企業へ就職。当時は就職氷河期だったので、「自分が何がしたいのか」なんて二の次。とにかく就職しなければと必死に活動して見つけた会社でした。職種はカスタマエンジニア。各地方自治体のシステム導入の立ち上げが主な仕事でした。最初は全国各地へ行けるし、楽しかった。でも、3年目を過ぎたあたりから、ほとんどマニュアルどおりに仕事をこなしていけばOKという仕事に物足りなさを感じるようになってしまったんです。力を持て余していました。「70%ぐらいの力で働いているなって」感じていました。そうではなくて、もっと自分の実力以上に活躍できる職場で働きたい。そこで考えたのが、建築系スクールへの入学でした。
とくに資格をとって次につなげようとか、ステップアップしようというのではなく、もっとシンプルに、興味あるものを改めて本気で勉強して、専門知識を習得したいな、と。それをまず、自分の第一のリセットにしたいと考えました。次の職については学んでから考えようと思っていました。
僕が選んだのは、桑沢デザイン研究所スペースデザイン科。建築家やデザイナーになりたいわけではなく、もともと興味のあった建築や空間デザインを素直な気持ちで学んでみたいというのが一番だったので、資格取得や就職率のいいところというよりも、もっと学問として学べるスクールへ行きたいと思い、選びました。実際には、建築のプランニングから施工までの流れや、デッサンや造形力を鍛える実践的な授業も多かったので、まったくゼロからのスタートだった僕は、追いつけない面も多々ありました。
でも、ここを選んで良かったのは、デザインの本質を学べたこと。目に見える具体的なものだけでなく、人と人との関係を変えることもまた“デザイン”であり、そういう仕事もまたデザイナーのカテゴリーに入るのだと教えられたことが、僕にとっては目からうろこというか刺激的で、新鮮でした。
そんなふうに感じていた矢先、偶然にも同級生が、現在勤めている、都市デザインシステムでアルバイトを探していると教えてくれました。以前から、都市デザインシステムの手がける物件を知っていて、興味があったので、面白そうかも!と思い、日中広報アシスタントとしてアルバイトをさせてもらうことにしました。そこで任されたのは広報的なデータ管理や全社的なシステム管理。各セクションのネットワークシステムの構築、ヘルプデスク業務です。まさに、前職の経験も生かせる仕事でした。
アルバイトで入って1年、ちょうど昨年10月に社員に昇格。経営企画室に所属し、マーケティング業務に携わっています。この会社はコーポラティブ事業をはじめとする各種事業の企画・コーディネイト、不動産有効活用コンサルティング、インテリア、設計など実に多岐にわたる事業を展開しているのですが、これらを各部署ごとに管理するのではなく、もっと横断的にシステム構築させることで、有機的に機能させ、場合によっては新たなプロジェクトの可能性を追求する、というのが主な仕事になります。とにかく事業がどんどん拡大傾向にあるので、これらを戦略的に融合させれば、もっと会社として面白いことが実現できるのではないかと。そのためのマーケティングやシステムの構築を推進しているわけです。アルバイト中の仕事をより発展させた業務に就いている感じですね。
この会社を“デザインする”感覚こそ、スクールで学んだもの。2年間で培った感覚を、今の仕事で実践的に活用できている実感があります。
何より、今は自分自身の能力を120%以上活用できている。確かに資格や技術といった目に見える“修了証書”は何もない。でも、スクールへ行ったことで視野が広がった。自分が何を大事にして働きたい人間なのかを考えることができた。柔軟さも鍛えられた。次の職へつなげる資格取得やスキル習得のためにスクールへ行く人も多いと思いますが、僕みたいに、もっと単純に「好きなことを学んでみようかな」という気持ちで、スタート地点に立って、スクールへ行ってみるのもいいと思いますよ。
好きだな、っていう感覚を大事にして、そっちへ向かっていくと自然に“好きな仕事”が寄ってきてくれる。それが今の僕の実感です。












